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     夏のひこうき雲のsummercontrail(略して左近)が書いています。

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2007-03-22

言語の運用と「正しさ」にまつわる日本的発想 言語の運用と「正しさ」にまつわる日本的発想 - モヒカンダイアリー「アップル通信」 を含むブックマーク はてなブックマーク - 言語の運用と「正しさ」にまつわる日本的発想 - モヒカンダイアリー「アップル通信」


 :: 自己内対話 | 今更ながら、ら抜き言葉 ::をたまたま目にした。

昨今、正しさ(正義。そしてまた善悪)についての一般的な考え方は、ともすれば、正しいかどうか(善いか悪いか)の規準は人それぞれという話へと落とし込まれることが多い。

けれども、「正しさ」はやはりこうした形で何がしかの観点から主張される意味ある言葉として流通させるべきだろう。

:: 自己内対話 | 今更ながら、ら抜き言葉 ::

 上の文章は、

日本語はなぜ変化するか~母語としての日本語の歴史』からの引用部分、つまり

「どれほど合理的な変化であっても、新しい言いかたは、当分の間、低く位置づけられ、それを使う人も低く評価されることを知っておくことは、社会生活における円滑な伝達にとって大切なことである。(中略)

正しい日本語が客観的かつ固定的に存在するわけではない。相手に抵抗を感じさせないのが正しいことばづかいであり、とりもなおさず正しい日本語である。相手しだいで、いくとおりもの正しい日本語があり、その場に応じてそれらを適切に使い分けるのが言語運用の能力である」(241頁)

:: 自己内対話 | 今更ながら、ら抜き言葉 ::

 へのコメントとしてはやや違和感を感じる。

 その本の、上記引用部分では、いくとおりもの正しい日本語がありというような主張がなされており、これを従来のありがちな文脈で読むと、(悪い意味での)状況倫理的な発想、山本七平が強く批判するところの日本教の教義にもつながりかねないので。

 (補足すると、そのような状況倫理的発想は正しいかどうか(善いか悪いか)の規準は人それぞれという話とかなり親和性が高い。)


 ただ、再度引用するが、

昨今、正しさ(正義。そしてまた善悪)についての一般的な考え方は、ともすれば、正しいかどうか(善いか悪いか)の規準は人それぞれという話へと落とし込まれることが多い。

けれども、「正しさ」はやはりこうした形で何がしかの観点から主張される意味ある言葉として流通させるべきだろう。

:: 自己内対話 | 今更ながら、ら抜き言葉 ::

 という考えにはそうだそうだと共感する。


 元の(引用されている日本語はなぜ変化するか~母語としての日本語の歴史』の)話題に触れてまず思い出したのは、

 夏のひこうき雲 - 「存続」を表す「た」、学校文法の有効性など

 のことなんだけど、今読み返してみたら似たようなことを自分で書いていた。

 あと、余談ですが、「日本語は英語などと違って曖昧だ」という支配的な考え方についても若干疑問があります。それは主に、「英文法を基準とするなら理解しづらい」ということであって、純粋に言語のシステムとしてみれば、日本語は明瞭に組み立てることも十分可能な言語だとも思えるからです。たとえばフランス語よりも基本語彙の数は多く、具体的に事物を指し示すことがむしろしやすいとも思えます。

 昔読んだ話ですが、ある言語は話者と叙述の対象との関係、話者と聞き手との関係、叙述の対象と聞き手の関係、いわゆる「時制」などとの関係で相当複雑な変化をするそうです。それはかなり正確な叙述が可能な言語といえる。そして日本語も「敬語」システムなどそうした要素を多少持っているわけです。

 その意味では、〈日本語そのものの語彙や文法が曖昧だから〉というよりも、〈日本語母語として用いる人が、伝統的に曖昧な修辞を好むから〉ということの方が要因としては大きいのではないかと以前からなんとなく思っています。

 さらに放談になりますが、日本人は「日本人みたいにいろんな考え方を認める多神教がいい」「異なる価値観を認めない一神教は間違っている」「共存しよう」と簡単にいいますが、じつは「共存」でなく他者を「無視」しており、異なる価値観というものが存在すること自体よく知っていないし、知ろうという意欲も薄い。そのことがたとえば、異なる言語間の文法を流用することのおかしさに無頓着な姿勢につながるのかなとも思いますね。

夏のひこうき雲 - 「存続」を表す「た」、学校文法の有効性など


 似たようなこと、というか、いつも書いているのと似たようなことですね。

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